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旧大乗院庭園(きゅうだいじょういんていえん)

創設は平安時代のようであるが、室町時代中期に大乘院の門跡・尋尊が善阿彌に依頼して修補している。明治以後、荒廃したが全体としては室町時代の地割を残している。優秀な作庭が行われた室町時代のもっとも優秀な山水河原者・善阿彌の作庭遺構。


文化財種別:名勝

〒630-8301
奈良県奈良市高畑町1083-1
Tel:0742-24-0808

ホームページ:http://www.national-trust.or.jp/protection/index.php?c=protection_view&pk=1491202122


 大乗院は興福寺の門跡寺院で創設は平安時代とされている。室町時代の中頃に、それまでの徳政一揆で荒廃した庭園を修復するため、善阿彌とその子が、大乘院の門跡・尋尊に招かれて、修補を行った。善阿彌は時の将軍、足利義政の同朋衆(将軍や大名に近侍して茶事や芸能、雑務などの仕事に就いた者)で作庭の名手であったという。
往時は東大池と西小池があり、東大池には南中島と北中島が作られ、これらが庭園の主要な地割となっていたが、明治以降に荒廃して西小池と南中島は、現在見ることはできない。しかし、全体としては室町時代の地割を残しており、今も四季折々に変化する花木が庭園を彩っている。作庭が行われた室町時代のもっとも優秀な山水河原者・善阿彌の作庭遺構である。

依水園(いすいえん)

前園は江戸時代(延宝年間)に、後園は明治時代に作庭されており、創始を異にする二つの庭園を水流でつなぎ、あわせて依水園と称する。東大寺南大門の屋根や若草山、春日山、御蓋山の三山を借景として取り入れたすぐれた庭園。


文化財種別:名勝

〒630-8208
奈良県奈良市水門町74
Tel:0742-25-0781

ホームページ:www.isuien.or.jp


 東大寺南大門の西、吉城川の北側にある。前園は江戸時代(延宝年間)に、後園は明治時代に作庭された。創建時を異にする二つの庭園は水の流れでつながり、併せて「依水園」と称される。
 前園は、奈良の晒業者、清須美氏の別業三秀園の遺構を整備したもので、後園は奈良の富商、関藤次郎のときに作られ、若草山、東大寺南大門、春日山や御蓋山を借景としている。ほかに飛石、沢渡には伽藍石、挽臼石などが用いられ、サツキやオカメザサなどが植栽されるなど、全般に明治らしい特色のよく表れた庭園となっている。二つの庭園からなる依水園は奈良を代表する池泉回遊式庭園である。
 なお、園内には「寧楽美術館」があり、古代中国の青銅器や朝鮮の高麗・李朝の磁器、日本の茶道具などが所蔵、展示されている。

奈良公園(ならこうえん)

明治13年に興福寺の元境内と春日大社の約43,000坪の土地を区分して公園とし奈良県が管理を始めた。後に周辺の山林と東大寺手向山神社寺の境内地を編入し、さらに風致上必要な民有地を買い取り、歴史公園とも称される奈良公園となった。


文化財種別:名勝

〒630-8114
奈良県奈良市芝辻町543
Tel:0742-22-0375


 奈良公園は太政官布達にもとづき、明治13(1880)年に興福寺境内および春日野などの約15haを公園として設置したことに始まる。その後、若草山、春日山などを加えて、奈良県が都市公園として整備してきた。文化財としての名勝奈良公園は、猿沢池、鷺池、春日野および若草山などを含む県立都市公園としての奈良公園に、東大寺と興福寺の境内地も加えた524haの広さで大正11(1922)年に指定された。公園内には春日大社の神使とされる1200頭の野生の鹿が生息し、国の天然記念物として保護されている。春日野の広大な芝生は、鹿が食べたことで成り立っている独特の風景である。毎年1月に行われる若草山の山焼きは、若草山に火をつけて山全体を燃やす早春を告げる奈良の伝統行事となっている。若草山の隣の春日山は太古から伐採されることなく残されてきた原始林に覆われており、特別天然記念物春日山原始林に指定されている。鷺池に浮かぶ浮見堂、猿沢池、興福寺の五重塔など歴史文化と自然を織り交ぜた風景美が随所に見られる。