奈良公園(ならこうえん)

明治13年に興福寺の元境内と春日大社の約43,000坪の土地を区分して公園とし奈良県が管理を始めた。後に周辺の山林と東大寺手向山神社寺の境内地を編入し、さらに風致上必要な民有地を買い取り、歴史公園とも称される奈良公園となった。


文化財種別:名勝

〒630-8114
奈良県奈良市芝辻町543
Tel:0742-22-0375


 奈良公園は太政官布達にもとづき、明治13(1880)年に興福寺境内および春日野などの約15haを公園として設置したことに始まる。その後、若草山、春日山などを加えて、奈良県が都市公園として整備してきた。文化財としての名勝奈良公園は、猿沢池、鷺池、春日野および若草山などを含む県立都市公園としての奈良公園に、東大寺と興福寺の境内地も加えた524haの広さで大正11(1922)年に指定された。公園内には春日大社の神使とされる1200頭の野生の鹿が生息し、国の天然記念物として保護されている。春日野の広大な芝生は、鹿が食べたことで成り立っている独特の風景である。毎年1月に行われる若草山の山焼きは、若草山に火をつけて山全体を燃やす早春を告げる奈良の伝統行事となっている。若草山の隣の春日山は太古から伐採されることなく残されてきた原始林に覆われており、特別天然記念物春日山原始林に指定されている。鷺池に浮かぶ浮見堂、猿沢池、興福寺の五重塔など歴史文化と自然を織り交ぜた風景美が随所に見られる。