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天徳院庭園(てんとくいんていえん)

天徳院客殿の南に位置する。池を中心としておだやかな意匠に構成されている。池中に鶴島と亀島の中島を置き石橋を架けてこれらをつないでいる。対岸は自然の傾斜地を築山として扱い、池畔左手に枯れ滝石組を設けて庭の主景としている。


文化財種別:名勝

〒648-0211
和歌山県伊都郡高野町高野山370
Tel:0736-56-2714


 天徳院は、江戸時代初期の元和元(1615)年に、加賀藩主前田利常によって創建されたといわれ、作庭も同時期であると考えられている。幕末の元治元(1864)年に、園内の建物いっさいが焼失してしまうが、往時の地割や石組みは残されている。
 庭園は天徳院客殿の南にあり、池を中心としておだやかな意匠に構成されている。池中に鶴島と亀島の中島を置き石橋を架けて、これらをつないでいる。対岸は自然の傾斜地を築山として扱い、池畔左手に枯れ滝石組を設けて庭の主景としている。後方には、スギ、マツ、サワラ、イチイなどの針葉樹の高木が木立をつくり、山麓から池の辺にかけては、低く刈りこまれたアセビ・シャクナゲ・イヌツゲ・ツツジなどが植えられている。
 石組みなどに少なからず、荒廃の様子が見られるが、後世に補修された形跡がなく、かえって往時の様子が残されている。

粉河寺庭園(こかわでらていえん)

主として緑泥片岩に属する巨大な岩石が、多数かつ変化に富む手法で堅固に、美しく組まれた日本庭園の中でも先例のない石組みの庭園。石の間をツツジでうずめ、さらにビャクシン・シダレザクラ・ソテツなどが植えられている。


文化財種別:名勝

〒649-6531
和歌山県紀の川市粉河2787
Tel:0736-73-4830

ホームページ:www.kokawadera.org


 粉河寺は、西国巡礼の霊場の一つとして知られる。西国巡礼の道は、わが国最古の巡礼道であり、近畿・東海の2府5県にまたがる観音さまの霊場をめぐる道程である。
 庭園は本堂と山門との間に造られた桃山時代の石の庭で、山門から本堂までの高低差、約3mを結ぶ石段の両側に造られており、土留め石垣としての機能も持っている。主として緑泥片岩に属する巨大な岩石が、変化に富んだ手法で堅固に、かつ美しく組まれている。多彩に組まれた石組みの間は、刈込まれたツツジが植えられ、さらにその間にビャクシン、シダレザクラ、ソテツなどを植え飾っている。石組全体の構成は向かって左手に重点が置かれ、枯れ滝や石橋、鶴亀の島などが表現されている。
 多彩な石組みを持つ日本庭園の中でも先例のない石組みの庭園である。

根来寺庭園(ねごろじていえん)

奥書院を北から西、南へと囲む平庭と聖天堂南面の聖天池から成る。聖天池の池辺一帯にはマツ・カエデなどが植えられ風致に富む。奥書院は寛政12(1800)年 に紀州徳川家の吹上御殿が移築され、翌享和元年に落成するが、これに伴い作庭された。


文化財種別:名勝

〒649-6202
和歌山県岩出市根来2286
Tel:0736-62-1144

ホームページ:www.negoroji.org


 奥書院を北から西、南へと囲む平庭と聖天堂南面の聖天池から成る。
奥書院の北および西に面するものは築山泉水庭で、裏山の裾に池をほり、北正面に滝頭石組を高く積み重ねて滝を三段に落す。池には大小2つの島が低く築かれ、2枚の石橋が架かる。またほかに浮島を据え、島と池の汀辺は主に平石による石組で護岸されている。
 奥書院の南庭は東南隅に立石を組み、景石が配され、アカマツやツツジ等が植えられた平庭となっている。
 聖天堂南面の聖天池は、中央に島があって弁戝天を祀り、附近に若干の石組が残っている。池の周辺一帯にマツやカエデなどが植えられ風致に富んだ景色となっている。

養翠園(ようすいえん)

和歌山市の西南方、大浦湾に接する紀州藩水軒御用地の一部に、文政年間、第10代紀州藩主徳川治宝が営んだ別邸。クロマツを主にアカマツ、ツバキ、モクセイ、ウバメガシ等が植栽された約33,000㎡におよぶ大名庭園。庭園には海水を取り入れた汐入りの池がある。


文化財種別:名勝

〒641-0036
和歌山県和歌山市西浜1164
Tel:073-444-1430

ホームページ:www2.odn.ne.jp/cap99810/index.htm


 和歌山市の西南方、大浦湾に接する紀州藩水軒御用地の一部に、文政年間、第10代紀州藩主徳川治宝が営んだ別邸で、庭園の広さは33,000㎡におよぶ。
 庭園の地割の主体は東西に長く広い池で、池の西部に書院や茶席が配置されている。池は海水を取り入れた汐入りの池で、ゆるやかに屈曲し、池の西北隅に立石を置き、中央からやや東寄りに中島が置かれている。中島には弁財天、稲荷社が祀られており、中島へは北岸から鍵形に西湖堤で、南岸から反橋で結ばれている。池の南岸には時雨亭跡があり、西方には舟蔵跡、八千代亭跡、馬場跡がある。背後には庭園と水軒川との境をなす土塁状の堤があり、堤には、海水を池に導く2つの樋門が設けられている。
 園の周囲はクロマツを主に、アカマツ、ツバキ、モクセイ、ウバメガシ等が植栽され、園外にある章魚頭姿山、焼山の背景を自然につなげている。

和歌山城西之丸庭園(わかやまじょうにしのまるていえん)

和歌山城の北西麓、西之丸御殿の庭園。作庭時期は明らかではないが、江戸時代初期のものとみられている。1970〜1973年にかけての修理の際、周囲の庭園建築や茶室の跡も発見された。遺存例の少ない城郭内庭園。


文化財種別:名勝

〒640-8511
和歌山県和歌山市一番丁3
Tel:073-435-1044


 和歌山城の北西麓、西之丸御殿の庭園。作庭時期は明らかではないが、江戸時代初期のものとみられている。山上に天守の建つ虎伏山の傾斜地を活用し、二段の池や滝が設けられた回遊式庭園。
 城の内堀を引き込んで、大きな池に見立て緑色片岩の「柳島」を置いている。大きな池の畔には「鳶魚閣」が建てられ、亭より西に進むと、小さい池である「上の池」へと至る。池には船首を立ち上げたような石が置かれており、「御舟石」と称されている。上の池には紅葉渓橋をはじめ、土橋、石橋といくつもの橋が架けられている。秋には、見事な紅葉が見られることから、「紅葉渓庭園」とも呼ばれている。
 1970〜1973年にかけての修理の際、周囲の庭園建築や茶室の跡も発見され、遺存例の少ない城郭内庭園である。

琴ノ浦温山荘園(ことのうらおんざんそうえん)

製革業で財を成した新田長次郎が、大正初期から昭和の始めにかけて造園した潮入り式池泉回遊庭園。18,000坪以上の広大な面積を持ち、潮入の池泉に擬石・擬木などを多用した独特の意匠・構造・技法が見られる。


文化財種別:名勝

〒642-0001
和歌山県海南市船尾370
Tel:073-482-0201

ホームページ:http://www.onzanso.or.jp


 大正初期から昭和初期にかけて、製革業で財を成した新田長次郎が、大正初期から昭和のはじめにかけて造園した潮入り式池泉回遊庭園。
 庭園造成にあたり矢ノ島と陸地との間を埋め立て、給水管を園内に埋設して海水を導き入れて、2つの潮入の池泉が造成された。そのため池泉の水面が潮の干満により上下するのにともなって、水面に映る岸辺の岩影や緑陰が微妙な変化をみせる。
 矢ノ島の岩盤には庭園から海浜へと通ずる隧道を開削し、東麓に展開する人工的な池泉庭園の風景と西麓の自然の海浜の風致とを結びつけている。
 当時、珍しかったコンクリート製の擬石・擬木の素材を多用した独特の技法と、セメント・モルタルを用いて飛石と寄石敷を織り交ぜた園路の意匠・技法も随所に見られなど、立地を活かして様々な工夫を凝らして造られている。