琴ノ浦温山荘園(ことのうらおんざんそうえん)

製革業で財を成した新田長次郎が、大正初期から昭和の始めにかけて造園した潮入り式池泉回遊庭園。18,000坪以上の広大な面積を持ち、潮入の池泉に擬石・擬木などを多用した独特の意匠・構造・技法が見られる。


文化財種別:名勝

〒642-0001
和歌山県海南市船尾370
Tel:073-482-0201

ホームページ:http://www.onzanso.or.jp


 大正初期から昭和初期にかけて、製革業で財を成した新田長次郎が、大正初期から昭和のはじめにかけて造園した潮入り式池泉回遊庭園。
 庭園造成にあたり矢ノ島と陸地との間を埋め立て、給水管を園内に埋設して海水を導き入れて、2つの潮入の池泉が造成された。そのため池泉の水面が潮の干満により上下するのにともなって、水面に映る岸辺の岩影や緑陰が微妙な変化をみせる。
 矢ノ島の岩盤には庭園から海浜へと通ずる隧道を開削し、東麓に展開する人工的な池泉庭園の風景と西麓の自然の海浜の風致とを結びつけている。
 当時、珍しかったコンクリート製の擬石・擬木の素材を多用した独特の技法と、セメント・モルタルを用いて飛石と寄石敷を織り交ぜた園路の意匠・技法も随所に見られなど、立地を活かして様々な工夫を凝らして造られている。