旧龍性院庭園(きゅうりゅうしょういん)

 


文化財種別:名勝 

〒471-0361
愛知県豊田市猿投町瀬戸田
(旧龍性院庭園は、一般公開はしていません)

旧龍性院庭園は、愛知県豊田市の猿投山(標高629m)の南麓に位置します。庭園の造られた龍性院は、式内社である猿投神社の神宮寺の一つで、14世紀開創と考えられています。廃仏毀釈により慶応4年(1868)に廃寺となりましたが、庭園は破却を免れました。 

庭園の造営についての資料は残されていませんが、記録類から18世紀末には庭園の存在がうかがえます。また、1830年から60年頃の制作とされる『龍性院家相図』には、客殿等の建築物と庭園が描かれますが、発掘調査から客殿等の建築は17世紀前半と推察され、建築物との位置関係から庭園もその頃に造られたと考えられます。 

庭園は東側にあった客殿から観賞するよう造られています。右奥に最も大きな築山を築き、その裾付近に滝が造られます。築山は左奥にもあり、右奥と左奥の築山の間をなだらかな峰が結びます。『龍性院家相図』には左奥の築山の上に草庵風の建物が描かれ、その礎石と考えられる石材が残ります。滝から続く池は左右に長く、左端で手前に直角に折れ曲がります。池には出島、岬等が造られ、石橋が架かり、護岸の石組は随所に大振りの石を配置しながら入り組んだ曲線を描きます。『龍性院家相図』では池が青く描かれますが、水は涸れており、取水及び排水の経路は不明です。植栽は、当時のものは残されていませんが、『龍性院家相図』には、マツ類、円柱状・四角柱状・半球状に刈り込んだ中低木類が見られます。