南禅寺方丈庭園(なんぜんじほうじょうていえん)

南禅寺は鎌倉時代の正応4(1291)年に創建された寺で、住持の居所である方丈の庭園。庭園は江戸時代初期の小堀遠州の作と伝えられている。築山や巨石を立てて仏教的世界観を表現した日本庭園とは違い、石を寝かして配置した平庭の枯山水庭園で、俗に「虎の子渡し」の庭と呼ばれている。


文化財種別:名勝

〒606−8435
京都府京都市左京区南禅寺福地町86 
Tel:075-771-0365


 南禅寺は臨済宗南禅寺派の総本山で、方丈は慶長16(1611)年に女院御所の旧殿を移築したもので、庭園も同じころに作られたものと考えられている。
 庭園は小堀遠州の作と伝えられており、江戸時代初期の代表的な枯山水庭園で、方丈と築地塀で整然とした長方形に区画され白砂が敷かれた平庭である。方丈から見た庭の左奥に主石を置き、さらに塀沿いに右へ数個の石が配されて、方丈の前面と右手は白砂の広い空間が広がっている。景石の間にモミジ、マツ、モチノキ、ツバキ、丸く刈り込まれたサツキなどが植えられている。白砂、庭石、庭樹、築地塀が作り出す景色が、背景の松林や山と一体となって調和のとれた庭園となっている。築地塀の白壁には薄青色をした5本の定規筋が水平に引かれている。定規筋は、皇族が出家して住職を務めた門跡寺院であることの証で、筋の数が寺の格式を表しており、5本線は最高格式とされる。