旧島津氏玉里邸庭園(きゅうしまづしたまさとていていえん)

「上御庭」と呼ばれる池庭と、一段低い西半部に「下御庭」と呼ばれる茶室の庭園が造られた。上御庭は書院座敷の南庭として造られたもので、東側に3つの築山と楕円形の池を持ち、下御庭は北寄りに茶室が建ち、その南側に広く池庭が展開する。


文化財種別:名勝

〒890-0012
鹿児島県鹿児島市玉里町27番20号
Tel:099-222-2627

ホームページ:www.tamazatotei-teien.jp


 鹿児島市の北部丘陵、愛宕山の西麓に位置する。島津家第27代当主、島津斉興によって天保6(1835)年に造営されたと伝えられている。敷地の東側半分には、かつて主屋建築群が建っていた平坦地があり「上御庭」と呼ばれる池庭が造られ、一段低い西側半分には、「下御庭」と呼ばれる茶室の庭園が造られた。
 上御庭は書院座敷の南庭として造られたもので、東側に3つの築山と楕円形の園池が造られている。池に注ぐ流れの石組は、浸食された海岸の石を用い、複数の流れから成る注ぎ口は渓流を模している。中島は、この池の別称「亀の池」の由縁となった亀の姿をかたどった岩が配置されている。茶室からは、樹木越し南方に山を望むことができる。
 下御庭は茶室の東側に渓谷をかたどった滝流れが造られ、そこから茶室の南東隅を回り込んで、自然石の大石橋の下を潜り滝となって池に注ぐ。中島や巨石、十数基の石灯籠など独特の意匠を持っている。