仙巌園附花倉御仮屋庭園(せんがんえんつけたりけくらおかりやていえん)

仙巌園は薩摩藩主島津家の別邸。照葉樹林が生い茂る磯山を北側にみて下に位置する場所に築造されている。南東には錦江湾を隔てて桜島を一望できる。庭園の滝、溪流の護岸、石橋等巨石を用いた豪宕な石組はいちじるしい改変を受けずに現代に残されている。


文化財種別:名勝

〒892-0871
鹿児島県鹿児島市吉野町9700−1
Tel:099-247-1551


 万治元(1658)年、島津家19代光久の別邸として、家老鎌田出雲守の旧宅であった大磯下津浜門屋敷に御仮屋を築いたのが始まり。「仙巌園」の名は、中国江西省の景勝地、龍虎山仙巌に似ていることに由来するとされている。
 照葉樹林が生い茂る磯山を北側にみて下に位置する場所に築造されており、南東には錦江湾を隔てて桜島の全容を借景とする。庭園は、建物の前を広く取って、海に向かって二段になっており、そこに石組みや石灯籠が置かれている。当初は下庭部分はなかった。道路(現国道10号線)の開通に伴って、石垣と植栽を造成して景観が変化している。
 花倉御仮屋は仙巌園の東およそ500mのところにあり、幕末の天保初年に島津家の離舘として造営され、時を経ずして廃された。しかし、庭園の滝や溪流の護岸、石橋などの巨石を用いた石組はいちじるしい改変を受けずに残され、江戸時代末期の景観を今に伝えている。(花倉御仮屋は現在非公開)