三重県桑名市の米穀商であり、1代で富を築いた初代諸戸清六が江戸時代に作られた庭園を買い取り、明治時代の1887年頃に築造した。庭園の池は揖斐川の水を濠から入れており、揖斐川の干満に応じて景観が変化する「潮入りの池」となっている。
文化財種別:名勝
〒511-0005
三重県桑名市太一丸18番地
Tel:0594-25-1004
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桑名市北東部を南西に流れる揖斐川右岸にあり、室町時代には邸宅・庭園があったといわれる土地を江戸時代の貞享3(1686)年に豪商山田彦左衛門が買い求めて作った庭園(旧山田氏林泉)を、明治17(1884)年に初代諸戸清六が買取り御殿と庭園を築造した。
庭園は主に主屋前にある旧山田氏林泉と、御殿広間前面にある御殿庭園の2つの部分からなり、庭園の西辺と北辺にはレンガ造の濠がめぐらされている。
旧山田氏林泉の部分は、東西に長く浅い菖蒲池を中心とする回遊式庭園である。池の西端には江戸時代以来の草庵推敲亭が建っており、古くからの様子を留めている。春には藤、平戸つつじ、花菖蒲などの花が次々と咲き、情感豊かな庭園である。
御殿庭園は、広間座敷から観賞するための庭で、高さ約1.5メートル上から庭園を見下ろすダイナミックな構成となっている。広間前の池を中心として、荒磯あるいは深山を思わせる青石の石組と、池の水面を這うように松が伸び、幽玄な趣がある。
江戸時代の旧山田氏林泉の景色を残しつつ、明治時代に更に庭園を加え、主屋、御殿、玉突場、茶室伴松軒など用途に応じた建物を配した。近代の地方の豪商の姿を今なおはっきりと伝える庭園として貴重である。