旧堀氏庭園(きゅうほりしていえん)

旧堀氏庭園は主屋の前庭、楽山園、和楽園、畑迫病院の外構造園の4箇所の園地から成る庭園。優れた意匠・構造をもつ多彩な造園的要素で構成されており、白石川の谷地形及び川沿いの土地利用とも一体となった独特の景観をみることができる。


文化財種別:名勝

〒699−5622
島根県鹿足郡津和野町邑輝795
Tel:0856-72-0010


 堀氏は江戸時代石見銀山の中の笹ヶ谷銅山の経営を担う銅山師たちの1人で津和野の有力な一族である。庭園は白石川沿いに建てられた住宅の主屋に南面する枯山水庭園と、15代堀藤十郎礼造が明治33(1900)年に建てた数寄屋建築「楽山荘」の庭園「楽山園」、大正4(1915)年白石川対岸の傾斜地に築造した「和楽園」と養魚池、堀氏が鉱山開発に関わった労働者や住民のために建設した畑迫病院の外構の造園の遺構を含む計4箇所から成る。
 主屋書院に南面する庭は土塀で囲まれた簡素で小規模な枯山水庭園で、江戸時代に定着した書院前庭の定型を見ることができる。楽山園は、2段になった滝石組や池辺の飛び石に沿った雪見燈籠や層塔型石灯籠などの石造物が見どころとなっているほか、主座敷から庭を望むと白石川沿いの水田から対岸の和楽園へ連続する風景が展開する。
 和楽園では、地形の特性を活かした様々な意匠が施されており、上方の展望地点からは白石川沿いの谷筋全体を望むことができる。畑迫病院跡は堀氏に関係した重要な福祉医療施設の遺跡であり、近代の病院施設に施された造園の遺構として貴重である。