文化財指定庭園とは

 文化財指定庭園とは、一般に、文化財として価値のある庭園を、文化財保護の法律や条例にもとづいて指定し、保護しているものです。庭園は通常は文化財の分野のなかの名勝に指定され、その歴史的価値を合わせた史跡と重複して指定されることもあります。

 日本庭園の歴史的様式は、日本の風土において育まれた国土の多様な自然風景美を象徴的に意識し、限られた庭園のなかに導入することによって発展してきたものです。そのため、名勝の庭園は、風景の文化財ということができます。

 文化財指定庭園保護協議会は、国の文化財保護法で名勝に指定された庭園の所有者および管理者を会員とする団体であり、近年では国の名勝分野の登録記念物にされた庭園も会員になっています。これらの庭園は、わが国を代表する「名園」と呼ぶことができます。

 庭園を文化財として保護する制度は、大正8(1919)年に制定された史蹟名勝天然紀念物保存法がはじまりです。この法律では、史蹟と名勝と天然紀念物の3つを記念物として扱っています。その後、昭和25(1950)年に文化財保護行政を強化するために、史蹟名勝天然紀念物保存法は国宝保存法などと統合されて文化財保護法として生まれ変わります。昭和26(1951)年の文化財保護委員会告示によれば、名勝は、「わが国のすぐれた国土美として欠くことのできないものであって、(庭園や公園などの)人文的なものにおいては、芸術的あるいは学術的価値の高いもの」とされています。また、「名勝のうち価値が特に高いもの」を特別名勝とする、とされています。

 文化財保護法で指定された国指定の名勝は、令和4(2022)年3月1日現在で庭園は234件(内、特別名勝24件)、公園は10件です。
さらに、平成8(1996)年に創設された登録文化財制度では、有形文化財のうちの建造物等に限られていましたが、平成16(2004)年の法改正で、建造物等以外の有形の文化財(有形文化財のうちの美術工芸品、有形民俗文化財、記念物)に拡大されました。名勝地関係の登録記念物は、令和4(2022)年3月1日現在で105件登録されています。そのうち、庭園77件、公園13件となっており、主に庭園が登録されています。